音声制作・加工のヒント 準備編

はじめに

自宅録音(宅録)で作成した車内放送音源を無加工のまま組み込んだ結果、不自然に浮いてしまっている事例を見ると、せっかく制作されたのに非常にもったいないと感じてしまいます。

ここでは、クリーンな音源をうまくなじませて違和感を少しでも軽減する手法や、その副産物として、いわゆるオタク声でも幾分かごまかせる手法をご紹介します。 ここで紹介している方法は、密着録音を行った音源をいい感じに汚す際にも参考にしていただけるのではないかと考えています。ご活用いただければ幸いです。

必要な機材

PCマイク

音質に難があるものは補正のしようがないので100均の製品は避け、安くとも1000円以上のものをご用意ください。 モノラルで収録して低音と高音をカットするため、スマホのボイスレコーダーアプリでもある程度は代用可能です(周囲のノイズが乗ってしまう可能性はありますが)。

管理人はaudio-technicaのAT2020 を使用していますが、このタイプは別途オーディオインターフェースという機器が必要になりますので、お持ちでない方はUSBタイプ をご購入ください。 その他で比較的安価なものだとRazer Seiren Mini あたりもおすすめできそうです。

長続きするかわからないのに高い機材を買うというのは気が引けるかもしれませんが、マイクが悪いと本当に誤魔化しようがありません。 「少しでも安く抑えたいけど、どれにしたものか……。」という方は、サウンドハウス で扱っているUSBマイクのうち、単一指向性で周波数特性が50Hz~15kHzより広い範囲をカバーする製品を選べば、外れを引くことは滅多にないかと思います。

いずれにしましても、マイクで拾えていない音域の音を後から付け加えることはできないので、宅録に挑戦するのであればこだわっていただきたいところです。

イヤホンまたはヘッドホン

細かい調整をする際に役立ちます。低音域~高音域までまんべんなくフラットに聴こえるものがよいでしょう。リスニング用としては重低音イヤホンが人気ですが、音源を制作する際のモニタリング用には向きません。 なお、オーディオインターフェースをお持ちでない方は、3.5mmのジャック(スマートフォンやパソコン本体に差せるサイズ)に対応した製品を選ぶようにしてください。

管理人はaudio-technicaのATH-M40x を使用しています。YOASOBIのAyaseさんもかつて使用されていたモデルです。ほかに評価が高いモニターヘッドホンだとソニーのMDR-CD900ST があります。スタジオでは必ずと言っていいほど使用されているものですが、そこまで上等なものでなくてもいいかもしれません。 ある程度のクオリティを維持しつつコストも抑えるとなると、管理人の使用しているものの下位グレードであるaudio-technicaのATH-M20x であったり、CLASSIC PROのCPH7000 あたりがおすすめできそうです。

イヤホンであればSennheiserのIE 100 PRO であったり、SHUREのSE 215 あたりが廉価帯だと高評価なようですが、なかなか値が張りますね。イヤホン・ヘッドホンの専門店であるe☆イヤホンのコラムも参考にしてみてください。

PC

BVEをプレイするのであれば満たしていると思いますが、CPUはIntelならCoreシリーズ、AMDならRyzenシリーズ搭載機をご用意ください。メインメモリは8GBあれば最低限なんとかなるでしょう。 管理人のデスクトップPCはCPU: Core i7-9700 / RAM: 32GBの構成で、ラップトップはCPU: Core i5-1135G7 / RAM: 16GBの構成です。

DAW

デジタル・オーディオ・ワークステーションの略称です。つまり音楽制作ソフトですね。

管理人は有償ソフトのStudio One 4 Professionalを使用していますが、今回ご紹介する内容はAudacityなど無償のソフトでも再現可能なものがあります。 ひとまずサードパーティ製のVSTプラグインのうち、エフェクトプラグインが読み込めれば何でもかまいません(インストゥルメントプラグインは読み込めなくてもよい)。

ちなみにStudio Oneの無償グレードであるPrimeは外部のプラグインを導入できないため、再現できません。導入するにはArtistまたはProfessionalグレードの購入が必要です。 作曲を始めたいわけでもなければArtistで十分だと思いますが、単体で購入するよりもPreSonus AudioBox iOne を購入すれば、ソフト単体購入時とほぼ同じ価格でソフトとオーディオインターフェースの両方が入手できます。 オーディオインターフェースがあれば、収録時のタイミングのズレや再生時にプツプツというノイズが乗らなくなるので、もし購入を検討されているのならば、この方法を強くおすすめします。

Soundly Place it

無償で入手可能なVSTエフェクトプラグインです。 設定できる項目は再生機器と再生している空間の種類、これらを原音にどの程度混ぜるか、再生機器と聴き手の間の遮蔽度のみですが、これだけでも90%ぐらいの完成度には持っていけます。

ダウンロードはこちら から。インストール方法と簡単な使用方法の説明はこちらの記事 をご参照ください。

ルームリバーブとEQ(必要に応じて)

Soundly Place itで満足できない場合は自分でパラメータを設定して音を作りましょう。

EQ(イコライザ)は無償のものがいろいろとありますが、ルームリバーブはそもそも単体で配布されていることも少ないので、 付属プラグイン目当てにStudio Oneの有償グレードやCubaseを購入してしまうか、リバーブはSoundly Place Itに任せるというのも手でしょう。

収録・加工編に続きます(鋭意執筆中)


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